7月 292021
 

前回のエントリでは Let’s Note CF-SZ5 の中古を購入して FreeBSD/amd64 13.0-RELEASE をインストールしました。そして、無事に動作して、なんちゃってな suspend/resume が動作しているところまで書いています。

 
さて、suspend/resume ですが、ports-CURRENT を追いかけていると、以下をインストールした辺りで正常に suspend/resume が動作するようになります。

  • drm-fbsd13-kmod-5.4.92.g20210720_1
  • mesa-dri-21.1.5
  • mesa-libs-21.1.5

もう、 /etc/rc.resume の中に色々書く必要ないです。

/etc/sysctl.conf に、以下の設定を記載すると、フタの開け閉めで suspend/resume ができるようになります。

# suspend/resume
#hw.acpi.lid_switch_state=NONE
hw.acpi.lid_switch_state=S3
hw.pci.do_power_suspend=0
hw.acpi.lid_switch_state=S3
hw.acpi.power_button_state=S5

 
すごいことですねぇ。 NotePC でバリバリ利用可能な FreeBSD の完成です;-)。

 
と、いうことで、ここからが本題。

以前のエントリでは Let’s Note のクルクル回すタッチパットでスクロールできない。と、書いていましたが、こちらも問題解決できたので、追加でエントリ書いてみたいと思います。

 
インターネット上で色々探してみると古い FreeBSD のバージョンでは特に気にすることなく動作していたみたいですが、12 系リリースの辺りからクルクルホイールさせるためには色々とワザが必要なって来たようです。

まず、カーネルがブートしたときの psm の状況を見てみましょう。
あ、このとき、/boot/loader.conf には以下のように設定してあります。

# psm/sysmouse
hw.psm.synaptics_support=1
hw.psm.trackpoint_support=1
#hw.psm.elantech_support=1

 
hw.psm.synaptics_support=1 が記載してあります。

それでもブート時には以下のように表示されます。

$ dmesg | grep psm
psm0:  flags 0x1000 irq 12 on atkbdc0
psm0: [GIANT-LOCKED]
WARNING: Device "psm" is Giant locked and may be deleted before FreeBSD 14.0.
psm0: model Generic PS/2 mouse, device ID 0

 
このようになっていた場合、どう xorg の synaptics 設定を書いてもクルクルホイールできません。ただのタッチパッドの動作になります。この状態では、とあるおまじないをする必要があります。

おまじないが有効化されるとこのようになります。

$ dmesg | grep psm
psm0:  flags 0x6000 irq 12 on atkbdc0
psm0: [GIANT-LOCKED]
WARNING: Device "psm" is Giant locked and may be deleted before FreeBSD 14.0.
psm0: model Synaptics Touchpad, device ID 0

 
一番最後が model Generic PS/2 mouse か model Synaptics Touchpad の違いです。

ではどのようにすると model Synaptics Touchpad になるのか?

ソースコードをいじる必要があるんですねぇ・・。
いやぁ、ようやっと、ネタを見つけた。と、いうか・・。

https://github.com/wulf7/iichid/issues/53

pciconf -lv したときに ichsmb0 があると良いのですが・・。 kldstat で ichsmb.ko がロードされているか確認してみてください。

さて、上記 URL を確認してみると、タッチパッドが SMBus 経由で動作するかもしれん。と、いうことで /usr/src/sys/dev/atkbdc/psm.c を書き換えてみてください。と記載されています。

--- psm.c.orig  2021-04-13 10:02:53.550143000 +0900
+++ psm.c       2021-07-28 10:23:34.503022000 +0900
@@ -6315,7 +6315,7 @@
                    active_ports_count);
 
        /* psm has a special support for GenMouse + SynTouchpad combination */
-       if (active_ports_count >= 2) {
+       if (active_ports_count >= 1) {
                for (port = 0; port < KBDC_AUX_MUX_NUM_PORTS; port++) {
                        if ((active_ports_mask & 1 << port) == 0)
                                continue;

 
(active_ports_count >= 2) の部分を 1 に書き換えたあと、カーネルを作り直して再起動してると・・。
おやまぁっ!! psm0 が model Generic PS/2 mouse から model Synaptics Touchpad になったではありませんかっ!!

最近の Let’s Note のタッチパットでクルクルを有効化させるためにはコードを修正する必要がある。と、いう感じでしょうか。

 
あとは xorg の設定をしていきます。僕の場合、/usr/local/etc/X11/xorg.conf.d/70-synaptics.conf を用意しました。

Section "InputClass"
    Identifier          "touchpad catchall"
    Driver              "synaptics"
    MatchIsTouchpad     "on"
    MatchDevicePath     "/dev/input/event*"
    Option              "CircularScrolling"     "1"
    Option              "CircularScrollTrigger" "0"
EndSection

 
/dev/input/event は何番になっているか? とかは libinput list-devices コマンドが良い感じかも。

あと、他の設定はどこに書いたら良いのか・・。僕の設定は /etc/sysctl.conf に書いていました。色々やったけど、動かなかったので /etc/sysctl.conf に書いていた。と、いう状態でしょうか・・。

# synaptics mouse 
hw.psm.synaptics.vscroll_hor_area=1300
hw.psm.synaptics.min_pressure: 16
hw.psm.synaptics.max_pressure: 220
hw.psm.synaptics.max_width: 10

 
こんな設定が入っていましたf(^^;;。これが効いているのかは sysctl で確認。と、いう感じです。
あと、KDE5 を利用している場合「KDE システム設定」の「入力デバイス」→「タッチパッド」で GUI 的に色々設定できるのでそっちで細かい設定をしたほうが直感的かも。

それにしてもようやっと、ホイールが動作してタッチパッドが動作するようになりました。嬉しいかぎかぎカギリですです。

ホイールクルクル回す他に、二本指で上から下に、もしくはその逆になぞるとスクロールもしてくれます。動作的には ThuinkPad X13 AMD みたいな感じかな。

 
さてと。これで Let’s Note CF-SZ5 はほぼぼカンペキな FreeBSD マシンになりました。 ThinkPad X13 AMD の Renoir が今でもまともに動作しないので、どうしてもこの NotePC が FreeBSD のメイン機として活躍していきそうな気配です。

 
あと、この NotePC は vPro が動くみたい(さすがはビジネス向けっ!!)みたいですが、 FreeBSD はそもそも vPro が動作しないようです。

  3 件のコメント to “Let’s Note CF-SZ5 のタッチパッドクルクル OK。”

  1. 古いパソコンをDual boot(debian + FreeBSD)にした折、輝度調整はdebianで簡単に出来ました。
    ならば、FreeBSDでも簡単だろうと取り組んでみたものの、一筋縄ではいかず。
    backlightコマンドは、動くようになったものの、startxすると、Xが即死してしまうみたいです。
    何かヒントが有ったら助かります。

    • 小林 栄 さん。こんにちは。

      debian とか ubuntu のほうが遙かに進んでいると思います。ベンダとかメーカが Linux 対応のドライバ書いていますし。

      FreeBSD だと linuxkpi とか使っているので最新のカーネルソースと最新の linuxkpi のコードが必用です。でもって、そこに最新の mesa-dri が必用で、これらはカーネルべったりなので、ヘタしたらカーネル道連れに再起動。なんて感じだったり・・。

      その辺りを書いているのが

      https://running-dog.net/2021/04/post_2429.html

      でしょうかねぇ。

      『startxすると、Xが即死』するのであれば、まずグラフィックスチップが AMD か Intel か解れば簡単だと思います。 AMD 系は最新チップだと色々大変ですが、古いのであれば比較的簡単に動作すると思います。

      Nvidia だとドライバが ports で nvidia-driver があるので簡単に動作すると思います。

    • 返信ありがとうございます。
      チップの件ですが、つい最近手を出したGauche-gl(OpenGLのschemeバインディング)によれば

      GL_RENDERER = Mesa DRI Mobile Intel® GM45 Express Chipset (CTG)
      GL_VERSION = 2.1 Mesa 20.3.5
      GL_VENDOR = Intel Open Source Technology Center

      こんな報告がなされていました。正直X関係はハードも含めて非常にうといです。
      昔は、FreeBSDで、がんがんbuild world(kernel)をやってたんですが、マシンの性能がついていか
      なくなったので、もっぱら、freebsd-updateとかpkg upgradeに頼る、なさけない状態になってます。

      来月中旬には、pkgも更新されるはずなんで、それに賭けてみる積りです。

      いろいろありがとうございました。今後の活躍を期待しております。
      追伸
      須坂ご出身だそうですね。当方、葡萄がたわわな須坂在住です。

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