5月 202018
 

最近の ports-current を追いかけていると、統合デスクトップ環境 (懐かしい響きだ;-) に KDE4 を利用している人にとっては、関連性からインストールする packages が xxx-kde4 へと、名前が順次変わっていたので『むむむ。そろそろ KDE5 が降ってくるのか?』などと思っていたら、果たしてその通りで x11/kde5 と、いうのができました。

デスクトップが更新されたのはずいぶんと久しぶりだなぁ。以前のこのブログのエントリに「FreeBSD に KDE4.1 がやってきた。」と、いうのを書いているのですが、それが 2008 年 08 月ですね。約 10 年ほど KDE4 を使い続けた。と、いうことですが、このたび KDE5 に移行しました。今回のネタは FreeBSD で利用する KDE5 について、少々書いてみたいと思います。

 
それにしても 10 年も経つと色々なことが変わりつつあります。そもそも、今でもデスクトップ環境として FreeBSD+xorg を利用している人は何人くらいいるのでしょうか? このエントリを書いて、ちゃんと読んでくれて、設定を方法を見てくれる人がどれくらいいるのでしょうか? 不安です・・f(^^;;。

が、まぁ、しかし、初めてみましょう。

 
1). インストール
まぁ、簡単で ports の x11/kde5 を make install すれば良いだけです。make config で好きなモノを設定していけば良いでしょう。
ただし、KDE4 からのアップグレードの場合、KDE4 に関連する packages は全て削除しましょう。 KDE4 と KDE5 の ports/packages では confrict が発生し、 make install が途中で止まったりします。

インストールは qt5- ・ kf5- ・ plasma5- で始まるモノがドドドとインストールされます。 akonadi はまだ動かないようですね。なので korganizer やkmail などは動きませんし、インストールされません。 okular は QT4 ライブラリがくっ付いているのでインストールする気にもなれません。これらは 18.04.1 のバージョンで多分解決するのではないかな。と思われます。
オフィスアプリは calligra-3.1.0 よりも libreoffice のほうが良いでしょう。

あと、KDE5 や Qt5 では日本語言語パックがなくなりました。フツーにインストールすると i18n 対応です。一応、 devel/kf5-ki18n がインストールされているかだけ、確認しておきましょう。

ports から make すると PC の性能にもよりますが 40 時間程度でインストールされると思います;-)。

 
あと、ウィンドマネージャとしての kdm がなくなりました。変わりに sddm というのを利用します。 kde5 インストール時に関連性でインストールされないので、後から x11/sddm と deskutils/plasma5-sddm-kcm をインストールしましょう。

起動については kdm4 と一緒です。 /etc/rc.conf に以下のように記載すれば OK です。

sddm_enable="YES"
sddm_lang="ja_JP"

 
sddm は一回起動すると /usr/local/share/sddm/scripts/Xsession というログイン時のスクリプトを生成します。自分好みの起動にしたい場合はこのファイルを直接直しちゃいましょう;-)。

インストールについてはだいたいこんな感じでしょうかねぇ。

 
2). 環境構築。
sddm から左上の「セッション」から “plasma” を選択すると上記 sddm の Xsession から startkde が実行され、デスクトップが表示されます。
“User Session” を選択すると ${HOME}/.xsession が動き出します。

起動後についでてすが、 KDE4 を利用していた場合は ${HOME}/.kde4/ に設定ファイルが置かれていましたが、 KDE5 では ${HOME}/.config/ にバラけて入るようになりました。
僕の場合は、ややこすぃーのがイヤなので KDE4 の設定は引き継がず、新たに KDE5 の設定ファイルが新規に生成されるようにしました。しかし、KDE5 になっても ${HOME}/.kde/ に設定ファイルを置くプログラムが何個があるようですね。

KDE5 のデスクトップ環境は「KDE システム設定」 (systemsettings5) で様々な設定をします。

僕は「KDE システム設定」->「起動と終了」->「自動起動」から「スクリプトファイル」で以下を実行するようにしました。環境変数と X のキーボード周り、あと、言語設定などですね。

#!/bin/sh
# XmodMap Sesource Setup
Xkeybord=$HOME/.xmodmaprc
if [ -f $Xkeybord ]; then
        /usr/local/bin/xmodmap $Xkeybord > /dev/null
fi
UsrResource=$HOME/.Xresources
if [ -f $UsrResource ]; then
        /usr/local/bin/xrdb -load $UsrResource
fi

# Start some clients
xset s 300 300 &
xset s noblank &

export LC_TIME=C
export LANG=ja_JP.UTF-8
export LC_CTYPE=ja_JP.UTF-8

export TZ=JST-9

export TERM=xterm
export UNICODEMAP_JP=cp932

# Session Type Select
export KDE_UTF8_FILENAMES=true
export KDE_LANG=ja_JP.UTF-8
export QT_XFT=true
export GDK_USE_XFT=true

## IME Start
#export QT_IM_MODULE=xim        # Qt4 用設定
export QT_IM_MODULE=fcitx       # Qt5 用設定
export GTK_IM_MODULE=xim
export XMODIFIERS=@im=fcitx

exec /usr/local/bin/mozc start
exec /usr/local/bin/fcitx

# Other Wakeup Programs
# gkrellm
Gkrellm="/usr/local/bin/gkrellm"
if [ -f $Gkrellm ]; then
    exec $Gkrellm &
fi
# Emulate3Button
Xkb2mb2="/usr/local/bin/kb2mb2"
if [ -f $Xkb2mb2 ]; then
    exec $Xkb2mb2 -c 117 &
fi

 
日本語入力は fxitx+mozc を利用しています。 fcitx は Qt5 用に textproc/fcitx-qt5 をインストールする必要があります。そして、環境変数の設定方法も変わっています。

fcitx 自体は今でも GUI 部分に Qt4 ライブラリを利用しています。うーむ。早いところ Qt5 に移行してほしいなぁ。 fcitx5 というのがリリースされているので、早いところ FreeBSD の ports になってほしいモノです。
ちなみに japanese/mozc-tool は Qt5 に移行しています。

文字をベコベコ打っていると、キーボードが 101 形式であることがわかります。 106 キーボードに変更する人は「KDEシステム設定」->「入力デバイス」->「キーボード」から設定します。一番最初に表示される [ハードウェア] タブにのキーボードモデルには 106 キーボードが無いんですね。その横にある [レイアウト] タブの「レイアウトを設定」にチェックを入れて JP 日本語キーボードを新規に登録する必要があります。

以下、キャプチャです。

こんな感じでキーボードを登録すると KDE5 側でも 106 キーボードが利用可能です。 X の twm などでは 106 キーボードが使えるのに KDE5 を起動すると 101 キーボードになってしまうので困ってしまうですねぇ。

 
もっと困ったのがマウスでした。僕の場合 Apple が推奨する Natural Scroll 、それは俗にいうホイールの逆回転ですね。これが動かない。
「KDEシステム設定」->「入力デバイス」->「マウス」に『スクロール方向を逆にする』という項目があり、チェックを入れても逆になりません。あららぁ・・。

色々調べてみると KDE5 からは libinput というのがマウスを管理しているようです。ports 的には x11-drivers/xf86-input-libinput です。 xorg.conf の設定で以下のような感じで用意してあげれば動くようなのですが、 Linux のドキュメントはたくさんある。しかし、 FreeBSD のドキュメントは全く無いっ!!

FreeBSD のフツーの X の使い方では xf86-input-libinput は利用されません。

Section "InputClass"
        Identifier "libinput pointer catchall"
        MatchIsPointer "on"
#        MatchDevicePath "/dev/sysmouse"
        Driver "libinput"
        Option "NaturalScrolling" "true"
EndSection

 
詳細についてはインターネット上にある libinput のドキュメントを読んでください。Linux の場合は /dev/input/event* なるデバイスができるようですが、 FreeBSD の場合はそれができない。デバイスではなく MatchHoge でも装置を認識するようです。装置名などにマッチさせることもできるパラメータで何種類かのマッチ要素があるようです。装置を確認するには xinput list で特定するらしいです。

が、そもそも、現在の FreeBSD (少なくとも僕の環境) では libinput は Xorg で利用されないため必要ないようです。なので、この設定自体は無視してかまいません。

では、どうやってマウスのホイールを逆回転するか? いやはや。古典的な設定で実現しました。

 
o.回避策そのいち (xorg.conf)

Section "InputDevice"
    Identifier     "Mouse0"
    Driver         "mouse"
    Option         "Protocol" "auto"
    Option         "Device" "/dev/sysmouse"
#   Option         "ZAxisMapping" "4 5 6 7"
    Option         "ZAxisMapping" "5 4 6 7"
EndSection

 
o.回避策そのに (${HOME}/.xmodmaprc)

pointer = 1 2 3 5 4 6 7 8 9 10 11 12

 
マウスのスクロールボタンは 4,5 なので、その値をひっくり返すことにより対応しました。 KDE5 の設定でなんとかしようとせずに X の設定で対応した。と、いう感じでしょうか。これで、マウスの設定も完了です。ふぅ。

 
僕的にはこれで KDE5 を楽しむことができるようになりました。

 
3). 使ってみる。
KDE4 から KDE Plasma5 になり、画面の雰囲気がガラっと変わり、全体的に明るくなりました。ベースのワークスペースのテーマは Breeze というのになりました。そのおかげでちょっと明るめの気配かな。使用感は KDE4 と遜色ないです。

 
気がついた問題点を少々。

 
o.ディスク IO 負荷が高い
ログインしてしばらくすると /usr/local/bin/baloo_file_extractor が動き出します。これはデスクトップのフル検索のための情報収集プログラムだと思われます。 macOS で言うところの mdworker のようなモノですね。こいつが動いていると KDE5 がやたらと重いのでプロセスを kill してかつ、「KDEシステム設定」->「検索」から「Enable File Search」のチェックをはずすとフツーの速さに戻ります。

 
o.今まであったアプリがない
上にも書いた通り、FreeBSD だけかもしれませんが、まだ akonadi が無いためにオフィス系アプリはほとんどありません。別途インストールする必要があります。もしくは 05/19 以降の ports-current を利用するのが良いかと思われます。

あと、このエントリ書くためにスクリーンキャプチャ (スクリーンショット) を撮ろうとしたんだけど、グラフィックスのメニューの中もずいぶん静かで、ありませんでした。
で、調べてみると、なんとっ!! PrtScr ボタンを押すと起動するんですね。 Windows みたいだ。で、実態はというと /usr/local/bin/spectacle が起動するので、メニューに登録してあげると良いでしょう。 (よくよくメニューを眺めてみると「ユーティリティ」の中にありました)

 
o.konqueror は相変わらずか?
レンダリングエンジンが KHTML から Webengine に変わっていますが、firefox に比べて軽いブラウザなので嬉しいです。が、SSL なサイトは相変わらず閲覧できないのは KDE の証明書ライブラリが相変わらずぶっ壊れているからか?

 
とまぁ、ダラダラと書いてみましたが、一番最初にも書いた通り、約 10 年ぶりのデスクトップ環境のアップデートです。嬉しいですねぇ。途中 KDE4 が重くて xfce4 をインストールしたこともありましたが、やはり KDE は良いですねぇ。

Gtk2/3 の角ばった雰囲気よりも Qt4/5 の丸っこいアウトラインが好きだし、そー考えると GNOME はもう 8 年くらい触ってないし。

などと、書いていますが、皆さんも是非 KDE Plasma5 をお試しください;-)。

  5 件のコメント to “FreeBSD に KDE5 が降ってきた。”

  1. 待ちに待った KDE5 うれしいですね。
    さっそく、x11/kde5 入れてみました。

    ソースを fetch する時、download.kde.org だと、とっても遅いので
    make.conf に MASTER_SITE_KDE+=${Official mirror} を指定して回避です。

    画面右下の時計の timezone を UTC -> Tokyo に変更すると
    時刻のしたに JST と表示されて消せないのが残念です。

    kontact / kmail の情報は、KDE4 から引き継いでくれました。

    これからもっと使ってみようと思います。
    とにかく、やっと KDE5 うれしいです。

  2. terucco さん。こんばんほ。

    おぉ。僕の他に KDE の新しいバージョンを待っていた人がいるとはっ!!

    このエントリを書いたときは kde5-5.12.5.18.04.0 だったのですが、その後 18.04.1 が出て akonadi が動くようになり kdepim 系が動作するようになりました。

    そして、今は 18.04.2 になりましたね。更に安定版。って感じです。 korganizer のカレンダーが、月曜日から始まっていて「いやだなぁ。」と思っていたのですが、正しい timezone を設定したら週の始まりが日曜日になったので、おぉっ!! って感じです。タイムゾーンに引きづられるアプリが何個かありますね。

    今後とも宜しくお願いしますー。

  3. 以前から参考にさせてもらってます。ありがとうございます。
    このたびようやく当記事を参考にKDE5の導入を行いました。

    私が試した時点(kde5-5.12.5.18.04.2)では、日本語キーボードはXorg側にさせてやれば、
    当記事のキーボード用hackは必要なかったですね。
    基本的に24時間稼働のマシンなので、安定性などは今後確認というところです。
    ちなみにKDE4の時は、たまにコケるけど実用上はまあ許容できるレベルといったところでした。

    これからもFreeBSDの記事、楽しみにしています。

    • ひろひと さん。こんにちは。

      おぉ。KDE5 使っている人いるのですねぇ。うれしいですねぇ;-)。
      このコメント記載時には 18.08.0 になりましたね。

      実は KDE5 で三週間くらいログインしっぱなしの状態にしていたら swap 食いつぶした。と、いう事象が発生しています。

      適度にログアウトするのが良いかもしれないですね。

      僕の場合、パワーの無い NotePC では akonagi は停止してしまいました。

      自分に合った使い方が良さそうですね。

      今後ともよろしくお願いしますー。

  4. […]   ThinkPad E145 の場合はこれで動いていました。以前のエントリの「FreeBSD に KDE5 が降ってきた。」で libinput を使うようにしました。その流れのまま ThinkPad X13 AMD の設定をしていたので […]

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