前回、「SMP カーネルと uptime と CPU クロック。」で書いたことの続き。
SMPカーネルで acpi_ppc を利用した場合、CPU速度が上がらないと言う状態になっていた。ちょっとまとめてみると大体以下のような感じ。
・OS は FreeBSD/amd64 6.2-STABLE。
・cpufreq.ko を使わないで acpi_ppc.ko のみを kldload した場合。
・CPU が DualCore な環境。SMP カーネルであるのだが、 DualCPU ではない環境。
上記の状態の時に発生する現象。
1.make buildworld したとき CPU クロックが Cool’n’Quiet の一番低い速度で動作する。
2.make -j2 buldworld したとき CPU クロックは Cool’n’Quiet の一番高い速度で動作する。
つまり、上の場合はどんなに速い CPU を買って来ても全くもって CPU のフルスペックが利用できない状態に陥る。
ちなみに、シングルプロセスの非常に重いプログラムを動作させた場合も 1. の動作となる。しかし、マルチタスク・マルチスレッドな非常に重いプログラムを実行すると二つの Core を使ってくれるので 2. の状態になる。
これらの情報をもとに acpi_ppc.ko の作者である 福田さん にお伺いしてみました。そしたらその回答として以下の情報を頂きました。
・acpi_ppc.ko はマルチコアな環境に対応していない。
・acpi_ppc は top(1) と同じ動作をする。
との事でした。「top(1) と同じ動作」について少し書いてみたいと思います。
acpi_ppc は cp_time[] という kernel 変数から CPU 使用率を算出しクロックの制御を行なっているそうです。acpi_ppc における Cool’n’Quiet の CPU 速度のアップは CPU 使用率が 98% を超えたら一つ上のクロック設定に上げるようにしているそうなので、シングルプロセッサの場合は特に問題なく Cool’n’Quiet の機能が動作します。
しかし、マルチプロセッサの場合、シングルプロセスの重いプログラムを実行しても top で見る CPU 使用率は 50% のため、いつまで経っても Cool’n’Quiet の一つ上のクロック設定に上がることは無いそうです。当然シングルプロセスの重いプログラムを二つ実行した場合は一つ上のクロック設定に上がるようになります。
以上により acpi_ppc は SMP 環境ではちょっともったいないと言うことになります。しかし、まぁ、言われてみればその通りだなぁ。と言う気はしますが・・。
と、言うことで、僕は色々な場面で make -j2 を付けるようにしました。後、シングルプロセスの重いプログラムを実行する場合は kldunload acpi_ppc することにしました。kldunload acpi_ppc すると CPU 速度は最高速で動作するのでシングルプロセスの場合でも最高速で利用できます;-)。
ちなみに cpufreq.ko はマルチコアに対応していてシングルプロセスの重いプログラムを実行しても CPU 速度は変わるらしいです。まぁ、今回は cpufreq.ko が動作しないマザーボードを買ってしまったのでしょーがないですけど・・。
最後にですが、色々教えてくださった 福田さん。有り難うございました。
11月 062007