●出発前の準備
区切り打ちの一回目は青春 18 切符で 鉄&歩きお遍路。二回目からは自転車遍路である。今回は三回目。前回同様自転車遍路である。三回目ともなると慣れたモノで特に前準備というものもなく、荷物を詰め込んで出発を待つだけである。持っていくものもだいぶ絞られてきた。「いかに必要のないものを置いていくか。」それに尽きるのである。
前回の遍路では東京駅から深夜バスで徳島駅前に行って、徳島駅前から東京駅に戻ってきたのだが、今回はちょっと違う。東京駅から出発するのは一緒なのだが、徳島駅を通り過ぎ阿南駅までバスで行き、前回最後に打ち終わったの 22 番札所に一番近い阿波福井駅まで行く。そして、高知・修行の道場 を打ち、帰りは高知駅前から東京までの旅となる。
まぁ、どうでも良いことを書いておくが、東京−徳島間は JR 四国の管轄。東京−高知間は JR バス関東の管轄である。
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●いよいよお遍路開始
朝 07:40 頃に阿南駅に到着。ちょっと寂しい駅だが、長距離バスの基地になっている。ここで顔を洗ったり着がえなどをし、自転車を組み立ていよいよ出発。
それにしても、前回は阿波福井駅まで旅したのに、今回はどうして阿波福井駅まで電車で行かないのだ?と、思うのだが、なんとっ!! 阿南駅から先の牟隠線は電車の本数が極端に少なくなり、電車を待つより自転車を漕いだほうが遥かに早く阿波福井駅に到達できるのであった。
阿南駅から阿波福井駅まではほぼ平坦な道で、距離は約 15km、時間にして約一時間で到着。道中の国道には室戸岬までの標識が出ているのだが、今回の目的地の一つでもある 室戸岬まで 100km と書いてあったりする。まだまだ遠い・・。さてと、阿波福井駅に到着し一休みした後は、よいよここからが遍路の本番である。まずは徳島・発心の道場最後の 23 番札所 薬王寺 を目指すのであった。
23 番札所を打ち終わった後、すぐそばにある道の駅日和佐で徳島最後の押し寿司を食べる。エネルギーを充電し、さて、室戸岬に向かって頑張るのである。徳島・発心の道場が完結し、いよいよ高知・修行の道場入りである。
などと張り切ったはいいが・・。これが遠い遠い。ひたすら遠い。23 番から 24 番の間は約 84km あるのだが、前半は山あり谷ありのアップダウンがひたすら続く。後半に入ってようやっと海沿いの道を進むことになるのであるが、この辺りは室戸半島の北側にあたるので悲愴感があふれているのである・・。
途中の別格 4 番鯖大師には元気と時間が残っていれば打っていきたいところ。ちなみに 23 番 と鯖大師の間は 19.2km、鯖大師と 24 番の間は 60.7km である。あれ。なんか短いな・・。23 番と 24 番の間は公称 83.4km と言われているのに・・。
初日は結局 24 番札所の山の下に着いたのが 16:40 であったために今日打ちに行くのは諦めたのであった。結局、本日打ったのは一個だけであったが、24 番札所の手前には御厨人窟(みくろど)があり、お大師様が修行して悟りが開けた所なのでここは是非立ち寄りたい。
| 札所 | 打ち終り時刻 | 積算走行距離 | 備 考 |
1. |
牟隠線・阿南駅 |
08:15 発 |
0km |
深夜バスはここまで来て今回はここから出発 |
2. |
牟隠線・阿波福井駅 |
09:03 |
15.3km |
前回終了した 22 番札所の最寄り駅で正確には今回はここがスタート地点 |
3. |
第23番 薬王寺 |
10:41 |
32.9km |
この後ひたすら 24 番札所を目指すが・・ |
4. |
海浜活動センター |
17:00 着 |
114.9km |
この季節はまだ開いていないみたいで、本当に良かった |
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●一泊目の場所探し
結局 24 番札所が打てなかったので、そう遠くはない場所にテントを張りたいとは思うのだが、観光地であるために「これだっ!!」という所が見当たらない。また、明日の朝は一番で 24 番を打ちたいのでそう遠いところまでは移動できない。
「海浜活動センター」と書かれたところがあったので入ってみた。幸いこの季節はまだ営業はしていないみたいだったので庭のコンクリートの上にテントを張らせてもらった。
-> 野宿ポイントはこの辺り
キャンプサイトの風景 そのいち・そのに
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●二日目の遍路
朝 7:00 には 24 番札所に着きたかったので 06:00 起床、6:50 出発。その後、山の上の札所を目指して自転車を押し上げる。この日はこの繰り返しになろうとは、この時は夢にも思っていなかったのであった・・。打ち終わった後は室戸岬灯台を見学しつつ、太平洋を眺める。まだまだ本日は先が長いのである。
今日は海沿い平坦な道が続く。道中は昨日とは打って変わって日が当たり明るい世界である。しかし、風が強いのには参った。坂が無い道路、今のところ敵は風だけのようである。
しかし、この辺りになると歩き遍路の皆さん達は足を引きづりつつ歩いている人が多くなってくる。23 番から 24 番の間で足に豆を作ってつぶれたのであろう。お互いに挨拶をし声を掛け合いながら元気をあげ、元気をもらう。かく言う自転車遍路の僕も、実は前日の 100km を越える走行によりお尻が痛くてどうしようもない状態であった。と言うことを付け加えておく。
この後、ひたすら海岸沿いの札所を打ち続けるが、平地にある 25 番札所でホっとしたのも束の間、26,27 番と山の上の寺を打ち、自転車を 1〜2 時間かけて押上げ、打ち終わった後の帰路は 10 分で降りてきてしまう遍路が続く。
26 番と 27 番 神峰寺 の間に二十三士温泉がある。昨日は風呂に入れなかったのでその分ゆっくりと入浴。疲れが取れれば良いのだが、すぐに 27 番札所が待っているのである。
27 番札所を打ち終わり、その後は安芸市に入る。この辺りは海岸線を走るのだが JR の廃線がサイクリングコースになっているのでその道を自転車で走るのが面白い。高架あり・トンネルあり・鉄橋ありでなかなか飽きが来ないチャリダー向きの道である。
| 札所 | 打ち終り時刻 | 積算走行距離 | 備 考 |
4. |
海浜活動センター |
06:45 発 |
114.9km |
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5. |
24番 最御崎寺 |
07:45 |
121.7km |
山の上の札所。辛い登り坂だが景色は最高 |
6. |
25番 津照寺 |
08:22 |
123.7km |
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7. |
26番 金剛頂寺 |
09:31 |
128.8km |
山の上の札所。ここを打ち終わったら道の駅・キラメッセ室戸で朝御飯を食べよう |
8. |
27番 神峰寺 |
14:46 |
162.7km |
山の上の札所。苦労して登った真縦も帰りは 10 分で降りてこられる |
9. |
道の駅・やす |
17:30 着 |
195.6km |
駅前・道の駅の公園はテント禁止 |
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●二泊目の場所探し
この日の宿泊先に決めていた土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線の夜須駅と一体型になっている道の駅・やすに着いた。そして、道の駅の売店(その目の前にはコンビニもある)で夕食を購入しつつ、目の前の公園にテントを張って良いか聞いたところ、目の前の公園はキャンプ全面禁止で、夜には見回りが来て追い出されるらしい。との事。
また、駅の前にはバスの待合室があるが、ここも夜になるとカギをかける場合があるとのこと。結局、駐車場の先の公園のはずれの簡単には見えそうにない所にテントを張って夜を過ごしたのであった。海に沈む夕日を眺めつつ・・。
-> 野宿ポイントはこの辺り
キャンプサイトの風景 そのいち・そのに
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●三日目の遍路
お尻の痛みがだいぶ増してきているのだが・・。朝 06:45 に出発。ひたすら自転車を漕ぎ続け、ひたすら札所を打ち続ける遍路旅となる。朝御飯も食べてないのでどこか食堂とかラーメン屋さんが開いてないかなぁなど考えつつひたすら漕ぐのである。30番 善楽寺 を打ち終わり、土讃線の土佐一宮駅前を通過した時に、讃岐うどん屋さんが開いていたのでそこで久しぶりに讃岐うどんを食べる。
その後、高知市内の 31 番 竹林寺 を目指す。持っていた地図がそんなに詳しく無かったので参道の入り口が解らない。随分遠回りし、ようやっと到着。もうへろへろである・・。これもお大師様からの試練なのであろう・・。「南無大師遍照金剛」。
32番を打った所で次はいよいよ桂浜である。途中のドライブイン・かつお船にて今回の遍路旅では初めてかつおのたたき丼を食べる。最初、大盛りにしようかと思ったのだが、ガマンして普通盛りを注文した。しばらく待って出てきた時、店のおばちゃんが「ちょっとご飯の量多くしておきましたからね。」だそうです。まぁ、お遍路の格好をしていたので、ある意味お接待かな?と、思い、食べる前に「南無大師遍照金剛」と三回唱えて、おいしく頂きましたが、食べてみるとあれあれ?「ちょっとどころの量ではないよー。」随分と量が多い普通盛りでした(^^;;。有り難うございました。
さて、おなかが一杯になった所で、自転車遍路には恐怖の浦戸大橋を通過し、いよいよ坂本龍馬とご対面である。しかし、浦戸大橋越えから桂浜までは下りである。遍路路に戻るにはまたここを登ってこなければならない・・。感動しつつも帰り道の心配をしているのであった。
この後、33,34 番と比較的アプローチが楽な札所を打ちつつ、本日の難関 第35番 清滝寺 である。この道中、バス移動の遍路の団体と行動が一緒になる。向こうは大人数でバス移動。僕は一人で自転車遍路。移動時間的にはほぼ互角。それにしても 33,34,35 番は思いっ切り漕いだ区間であった。
| 札所 | 打ち終り時刻 | 積算走行距離 | 備 考 |
9. |
道の駅・やす |
06:45 発 |
195.6km |
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10. |
第28番 大日寺 |
07:48 |
204.7km |
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11. |
第29番 国分寺 |
09:03 |
215.9km |
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12. |
第30番 善楽寺 |
09:59 |
224.7km |
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13. |
第31番 竹林寺 |
11:55 |
236.6km |
山の上の札所。高知市内にある。道路は一方通行なので目指せ最高速っ!! |
14. |
第32番 禅師峰寺 |
13:00 |
245.6km |
山の上の札所。海が見える |
15. |
第33番 雪蹊寺 |
14:40 |
259.1km |
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16. |
第34番 種間寺 |
15:24 |
266.7km |
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17. |
第35番 清滝寺 |
16:49 |
279.0km |
山の上の札所。ここもかなり辛い登り道 |
18. |
塚地休憩所の東屋 |
17:30 着 |
287.3km |
テントは張らずにシートにくるまって寝る |
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●三泊目の場所探し
35 番を打ち終わり休憩していたら、境内の果物直売所で土佐文旦のお接待を受け、おじさんと話をしていたのだが、「キャンプか。そこに通夜堂があるぞ。そこで寝たらどうた?」と言われたのだけど、食料を持っていなかったので断念する。山の上の寺でなければ買いにも行けるのだが、食料を買ってまたここに戻ってくるのは辛すぎる・・。
しかたないので 36 番 青龍寺 を目指しつつどこか良いところは無いものかと探していたら見つけたのが、塚地坂トンネルの手前の遍路向け東屋「塚地休憩所」である。ここはちゃんと整備されており、遍路が宿泊するための東屋である。納め札をかごの中に入れ「南無大師遍照金剛」と三回唱えありがたく今晩の宿とさせていただいたのでした。
ちなみにここではテントは張らず、東屋の長椅子の上にシートを敷いて風よけにしてからシュラフに包まって寝たのであった。
-> 野宿ポイントはこの辺り
キャンプサイトの風景 そのいち・そのに
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●四日目の遍路
第三回目の遍路、最後の日である。ここまでは天気が順調であったのだが、最終日は雨がパラパラと・・。朝 06:30 に起床。ここではテントを張らなかったので撤収は早かった。さてと出発。36 番を目指しトンネルに突入。トンネルまでは登り坂だが暗がりの途中から下り坂となり後は比較的容易に 36 番に到着する。
この後 37 番 岩本寺 を目指すわけだが、今回チョイスしたのは横浪スカイライン。歩き遍路にとっては眺めが良いのだが、自転車遍路にとってはアップダウンの繰り返しで辛い・・。それに雨も降っているし・・。前日は国民宿舎・土佐で泊まった人が大勢いるので横浪スカイラインではたくさんの歩き遍路の人と会う。
この後、雨が強くなり、自転車に付けていたスピードメータが動作しなくなった。あれま。と言う感じなのが、頑張ってとりあえず、土讃線須崎駅を目指す。
実は、この時に初めて解ったことがある。知り合いによく「お遍路さんしている時って何考えてるの?」と聞かれるのだが、僕はどうやら「スピードメータを見ている」らしい。走行速度・走行距離などを考えて遍路していたようだ。スピードメータが止まって初めてそれに気が付いた。ふむぅ。
この後、須崎駅前まで到達し、濡れた衣類を着がえて駅前の喫茶店でご飯を食べて、遍路は終了。この後、高知に向かったのであった。
| 札所 | 打ち終り時刻 | 積算走行距離 | 備 考 |
18. |
塚地休憩所の東屋 |
07:15 発 |
287.3km |
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19. |
36番 青龍寺 |
08:06 |
294.2km |
今回最後の札所 |
20. |
四国本線・須崎駅 |
10:30 着 |
312.2km |
途中で雨のためメータが回らなくなってしまった。後、8km 位は走っているはず。 今回はここで終了。汽車で高知駅へ。 |
最後に高知市内、主に駅前・駅周辺の情報に付いてをちょっとだけ書いておく。銭湯は比較的多い。観光案内所では銭湯専用のパンフレットが用意されているでそれをもらって風呂に入れば良いだろう。営業時間も書いてあるし電話番号も掲載されている。なお、洗濯したいと思うのは遍路として当然であるが、コインランドリー付きの銭湯はなかなか無い。
僕の場合は自転車遍路であったのだが、雨が降っていたため結局土佐電気鉄道で動き、司湯とそれに隣接しているコインランドリーに行った。ここは開店は 15:00 からである(パンフレットには 13:00 からと書いてあるがそれは古い情報らしい)。早く付きすぎてしまったらすぐ横で洗濯が可能である。もしくは隣の店でラーメンでも食べよう;-)。
さてと、風呂にも入ったし、帰りのバスの中で着る服の洗濯もできた。この後ははりまや橋辺りの渋い飲み屋さんで今回の疲れをお大師様と共に癒し、無事に終了したことを感謝し、次回もまた頑張ろうと思いつつ、帰りのバスを待つのであった。「南無大師遍照金剛」。
つづく。
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