●出発前の準備
前回は青春 18 切符でお遍路さんした。しかし、駅の近くの札所しか回れないし、電車待ちの時間がたくさんあって多くの札所を回ることできなかった。その点をふまえて、他に何か手段はないか?と模索することになる。当然「歩き遍路」も考えたが、一周目から歩かなくてもいいだろう。などと軟弱な発想が思い浮かんでしまったということも言えなくはない。で、思いついたのが自転車遍路であった。
そもそも僕は、安物ではあるが普段から 26 インチの MTB を乗り回していた。しかし、これを輪行袋に入れて持ち歩くのは重すぎる。しょーがないので折り畳み自転車を新規に購入することにした。
当初は DAHON にしようかとも思ったが、いろいろ悩んだ結果、ブリヂストンのトランジットセブンという折り畳み自転車(フォールディングバイク)にした。
その後、荷物を積むためにシートの後に付けるためのバッグを購入。RIXEN KAULM の CK810 エクステンダーと KM823 マッチパック。このセットだと最大で 7kg の荷物が搭載できるのでキャンプ道具は全てこの中に入る。
ハンドルにスピードメータを付け、ほぼ、自転車遍路対応を整えた。他に必要なものとして輪行袋・ヘルメットを購入。自転車遍路のために 70,000yen くらいかかったかな(^^;;。今回利用した自転車はこんな感じ
全体図ちょっとタチコマに見えるため名前は「トラコマ」と命名。お大師様と同行二人である。
フロント部分ハンドルにはモンベルのバックを付ける
当初、自分の車で徳島まで行こうかとも考えたのだが、たとえ ETC が付いているとはいえ高速道路料金とバカ高いガソリン代を考慮した結果、深夜バスで行くことにした。東京-徳島駅前の往復料金が 19,000yen。 さて 2006/11/22 午後 21:30 に出発。
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●いよいよお遍路開始
深夜バスで移動し、朝 07:00 ちょい過ぎ頃徳島駅前に到着。そのまま徳島駅に行き高徳線の電車(本当は電車ではない)の出発時刻を見ると、高松まで行くディーゼル車は 8:23 までない。しかし、鳴門方面に行くは 07:34 発。お、もうすぐじゃん。ということで、たくさんの荷物を抱えつつ駅のホームへ。
ディーゼル車が発車するも相変わらず遅いのである。高徳線と鳴戸線の別れの池谷駅で電車を降り、今回の遍路はここからスタート。ここから一番札所までは約 7km。自転車の組み立てや着がえで多少時間を消費し、イザ自転車遍路開始。
まずは一番札所を目指し、そこで傘を購入。ふむ。だいぶお遍路さんぽくなった;-)。これで、前回打った 1,2,3 番に立ち寄り、お参りだけしつつ通過し 4 番 大日寺 から打ち始める。
一日目の巡礼は以下のようになった。道中の走行距離は間違えて U ターンした距離も含まれている。あくまで自転車に付いているスピードメータでの計測値である。
「U ターン」で思い出したが、遍路道上には歩き遍路のための道しるべがついている。自転車の速さでそれを確認すると時々道を間違えてしまった。そして、遍路道からちょっとでも外れると遍路のための道しるべは一切なくなってしまう。
歩き遍路の場合、立ち止まってじっくり見ることができる。車の場合、道を間違えても戻ってくるのは楽である。自転車遍路の場合は大変に辛い・・。間違って坂を降りて行った場合は登ってこなくてはならない・・。遍路の道しるべは半分程度信じ、基本は自分でじっくり地図を見ながら移動したいものである。
| 札所 | 打ち終り時刻 | 積算走行距離 | 備 考 |
1. |
予讃線・池谷駅 |
- |
0km |
汽車をここで折りて 1番札所まで走行 |
2. |
1番 霊山寺 |
- |
3.5km |
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3. |
2番 極楽寺 |
- |
4.7km |
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4. |
3番 金泉寺 |
09:30 |
7.2km |
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5. |
4番 大日寺 |
09:53 |
12.9km |
今回はここからご朱印を頂く |
6. |
5番 地蔵寺 |
10:20 |
14.7km |
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7. |
6番 安楽寺 |
11:29 |
20.0km |
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8. |
7番 十楽寺 |
11:50 |
21.5km |
7番を打ち終わった後で昼食 |
9. |
8番 熊谷寺 |
13:20 |
25.6km |
ここから先しとしとと雨が降り始める |
10. |
9番 法輪寺 |
13:40 |
27.5km |
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11. |
10番 切幡寺 |
14:32 |
31.8km |
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12. |
11番 藤井寺 |
15:58 |
45.5km |
それなりに激しい雨の中、今日最後の札所 |
13. |
徳島線・麻植塚駅前 |
17:30 着 |
56.0km |
駅前でテント泊。夜はひたすらどしゃ降り |
出発前から怪しい天気であったが、8番 熊谷寺を過ぎたあたりからしとしとと雨が降ってきて、10 番札所から 11 番札所へ向かう時にはそれなりに本格的な雨。いやぁ、やはり、日頃の行いは重要たということを再確認しつつ、これもお大師様からの試練なのだ。と納得しつつペダルを漕ぐのであった・・。
雨の中、11番 藤井寺を打ち終ったところで本日は終了。明日はいよいよ山寺。第一回目の難所 12番 焼山寺に挑むのであった。
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●一泊目の場所探し
それにしても、今回の野宿場所探しには困った。雨が降っているのでテントを張る所は限られているのだが、おおよそのメドを付けていた吉野川遊園地のあずまやには既にテントが三張りあり、とても僕がテントを出すスペースが無い。さー困った。
通りすがりの地元の人に野宿できる場所を聞いたら「麻植塚駅ではよく泊まっている人がおるなぁ。」とのことだったので駅に向かい自転車を進めることにした。しかしっ!!終電が 23:00 過ぎであるっ!!。いくら無人駅とはいえ、人が乗り降りする時間に寝るわけにはいかない。それはステーションビバーグする人の掟。ちなみにバックパッカーの人は「ステーションビバーグ」、鉄ちゃん(鉄道マニア)は「駅寝」と言うらしい;-)。
取り敢えず雨の中、ご飯を食べるために R192 まで出て国道沿いのラーメン屋でビール・餃子・ラーメン大盛りを食べることにして時間稼ぎ。徳島はどこでラーメンを食べても「徳島ラーメン」か出てくるなぁ。などと感激しつつ再度、麻植塚駅に戻ることにする。
しかし、この駅、駅前にはお店が全然ない。すごいなぁ。と感心しつつ、やはり終電まで待ってられないので、駅横の公園に雨の中、強引にテントを張りそこで寝ることにする。夜中はずっと雨・・。持っているものは全て濡れてしまった。困った困ったと思いつつここちよい疲れを引きづり睡魔の中へと沈んでいくのであった。
-> 野宿ポイントはこの辺り
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●二日目の遍路
朝 07:30 に出発。夕べの土砂降りの雨は明け方には上がり、撤収時にははなんとか雨にふられることは無かった。朝の出勤時間前(駅が混む前)にテントを撤収し、二日目の行動へと入るのであった。
11番 藤井寺から12番 焼山寺へのルートで、今回チョイスしたのは別格 2番 学童寺、学童寺トンネル経由の道。ちょっとと言うか、かなりの遠回りになるがそのルートが一番ゆるやからしい。しかし、僕に取っては大変な道のりであることには変わりがなかった・・。
| 札所 | 打ち終わった時間 | 積算走行距離 | 備 考 |
13. |
徳島線・麻植塚駅前 |
07:30 発 |
56.0km |
駅前でテント泊。夜はひたすらどしゃ降り |
14. |
12番 焼山寺 |
12:27 |
92.6km |
別格二番経由で距離が長くそして登り坂 |
15. |
13番 大日寺 |
14:44 |
120.6km |
ここから 17番までは比較的集中しているので午前中のロスを取り戻せる |
16. |
14番 常楽寺 |
15:05 |
122.9km |
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17. |
15番 国分寺 |
15:30 |
125.0km |
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18. |
16番 観音寺 |
16:09 |
127.0km |
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19. |
17番 井戸寺 |
16:40 |
131.0km |
この後徳島駅まで。距離は結構ある |
20. |
徳島中央公園 |
18:00 着 |
141.9km |
前回と同じ所でテント泊。 |
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●二泊目の場所探し
なんとか、17:00 前に17番 井戸寺を打つことができた。安堵の気持ちで前回宿泊した徳島駅の向こう側にある徳島中央公園まで向かうことにしたが、自転車でもかなり遠い道のり。唯一の救いは平坦であることか。JR のガードを超えるとき自転車を担ぎいよいよ公園内に到着。前回同様新町温泉に行き、市内でご飯を食べて帰って来る。今日は今までで最長距離を走っているためへとへと・・。
-> 野宿ポイントはこの辺り
キャンプサイトの風景 そのいち・そのに
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●三日目の遍路
朝 06:30 に出発。それにしても前日の山寺打ちで体力を使い果たしているようで、目覚めた時に全身が痛い・・。「ここでやめて夕方まで徳島市内で遊んじゃうか?」みたいな考えも頭をよぎるのだが、「南無大師遍照金剛」と三回唱え、気分を新たに最後の一日を出発するのであった。
歩き遍路の多くが徳島で里心が付き、帰投してしまう数も少なくはないらしい。文明社会とは怖いものである。かくいう僕もその考えが少しでも頭をよぎってしまったのである・・。
さて、三日目の行動であるが、18番 恩山寺に行くために R55 をひたすら進むことになるが、是非とも国道沿いで朝食を済ませておきたい所。20番 鶴林寺・21番 太龍寺では山寺を打つことになるのでそれ以前にはおなかの中に何かを入れておいた方が良いであろう。
20番 鶴林寺を打ち終わり、ローブウェイ乗り場(道の駅鷲の里)まで行く道は那珂川沿いを進むが、運が良ければカヌーイストが沈する現場に遭遇できるであろう;-P。また、道の駅鷲の里ではようやくまともな食事にありつける。お勧めはロープウェイ乗り場内のレストランと言うか食道のカレーライスの大盛り。すごい量が多くて大満足の一杯;-)。
僕はこの日、第23番 薬王寺まで行く予定であったために 21番 太龍寺はローブウェイを利用してしまった。往復で2,400yen。二周目はちゃんと遍路道を行くから許してくださいねぇ。などと頭の中でお大師様にごめんなさいしつつ文明の力を頼ってしまうのであった。
| 札所 | 打ち終わった時間 | 積算走行距離 | 備 考 |
20. |
徳島中央公園 |
06:30 発 |
141.9km |
今回はカラオケの人たちは来なかった |
21. |
18番 恩山寺 |
08:46 |
158.8km |
途中道を間違えて時間と距離をロス |
22. |
19番 立江寺 |
09:14 |
162.6km |
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23. |
20番 鶴林寺 |
11:56 |
178.3km |
ひたすら辛い登り坂 |
24. |
21番 太龍寺 |
13:00着 14:20発 |
192.2km |
ロープウェイを利用したのでロープウェイ乗り場の着時間と発時間が存在する;-) |
25. |
22番 平等寺 |
15:45 |
205.4km |
今回最後の札所 |
26. |
牟岐線・阿波福井駅 |
16:30着 |
214.9km |
今回はここで終了。汽車で徳島駅まで |
21番 太龍寺を打ち終わり次の札所へ向かうわけだが、道の駅鷲の里から22番 平等寺を目指すのはつらいつらい・・。ダラダラと上り道が続くためそれなりにこたえる辛さとなる。この時点で 23番 薬王寺へ行くことをあきらめ、最終目的地を 22番 平等寺へ変更。
22番 平等寺でご朱印を貰い疲れがどっと出た所で一番近い最寄り駅である阿波福井駅で今回の遍路は終了。徳島区切り打ちが完結しなかったのがちょっと心残りである。
また、22番 平等寺では前日から抜きつ抜かれつの激しいデッドヒートを繰り返していたママチャリに乗ったチャリダーの人と写真撮影した後、彼は 23番札所へ、僕は帰路についたのであった。
阿波福井駅到着後約 15 分で徳島駅行きの電車が来ると言うグッドタイミングな状態でちょっと休憩した後、自転車をたたみ、そのまま電車に乗って徳島駅に向かうのであった。徳島駅に付いたらそのまま、新町温泉に向かい、体をきれいにした後、夜の街で弘法大師様と自分に乾杯し、今回の旅は終わったのであった。
つづく。
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